まゆクリ秘術
2012.4.22. 「まゆクリ秘術」と題して当院にしかない？治療法を紹介して行きます。（下から上に読んで下さい）
１０. 各ランキングを更新しました。 2013.9.3.→2016.4.27.
２型糖尿病治療薬ランキングも更新しています。
９. いろんな病院でもコンロトールがつかないLDLコレステロールや中性脂肪(TG)→降圧剤の併用（脂質異常症治療薬ランキング） 2013.4.7.→2013.9.3.→2016.4.27.
脂質異常症の治療薬はLDLコレステロール（悪玉）低下作用とTG（中性脂肪）低下作用、HDLコレステロール（善玉）増加作用などの多面的な評価を要するため、また測定機会が3-6ヶ月毎しかないため、別記の降圧剤ランキングのように単純ではありません。下図より各ランキング指標を注意深く比較ご検討下さい。
脂質異常症の治療薬はLDLコレステロール（悪玉）低下型→スタチン系、TG（中性脂肪）低下型→フィブラート系、HDLコレステロール（善玉）低下型→多価不飽和脂肪酸系やニコチン酸系薬などを第一選択します。必要に応じて小腸コレステロールトランスポーター阻害薬などを併用します。LDLとTGの両者が高度に高い症例ではスタチンとフィブラートの併用も不可欠となります。保険診療上、原則的にはスタチンとフィブラートの併用は禁忌ですが、実際はあまり問題にはならないようです。念のため肝機能と横紋筋融解症のチェックが必要です。
脂質異常症のためのフォローアップ採血は3-6ヶ月毎に午前中の空腹時に行いますが、便宜的に朝食可→昼食抜き→午後の採血でも良い。
▲図１．脂質異常症治療薬ランキング（眞弓の独断と偏見に基づく）2015.7.30.版
８. 癖にならない睡眠薬＝アンデプレ（トラゾドン） 2012.9.24.
人間眠れない事ほどつらいものはありません。睡眠薬として一般にも有名なのはマイスリー、ハルシオン、レンドルミンなどでしょうか？このうちハルシオンやレンドルミンは私が最も嫌うベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
マイスリーは確かにシャープに効く、非ベンゾジアゼピン系の超短時間作用型睡眠薬ですが、結構逆行性健忘やフラフラ感が多いものです。
そこで私がお勧めするのは「抗鬱剤系」に分類されますが、決して習癖性のない、マイルドで、覚め心地が良く、副作用も少なく、安価なレスリン／デジレルのゾロの「アンデプレ」です。一般名はトラゾドンです。オリジナルのレスリンやデジレルでも１錠が20-30円ですがアンデプレは10円以下のあめ玉錠です。
25mg錠と50mg錠の２種類がありますが、通常は25mgを１錠も飲めばぐっすり眠れます。効き始めはマイルドで30-60分かかって眠たくなります。時には毎日飲んでると３日目ぐらいから良く眠れます。まあそんなマイルドな薬です。
心配性、上がり症、めまい、立ち眩み、耳鳴り、嘔気、失神、動悸、息苦しさ、過呼吸発作、手足のしびれ感、など一つでも見覚えがあって、寝付きに３０分以上掛かり、途中で１回以上中途覚醒する、朝いつもより２時間以上早起きして以後は眠れない、なんて方には最適です。
「抗鬱剤」の分類ですがあまり抗鬱作用はありません。３−６錠も飲めば抗鬱作用が出るようです。気楽に飲んでみて下さい。私も今回のスペイン旅行で愛用して数錠飲みましたがほとんど気になる時差ぼけはありませんでした。
当院の患者さんでは飲んでいる方は多いと思いますが、本当の意味での副作用は一人＝女性化乳房のみでした。女性化乳房で有名なアルダクトンAよりも頻度は少ない印象です。「めまい」や「はしゃぎ過ぎ」を訴えて勝手に止めた患者さんもいましたが、副作用ではなく自身のせいかもと思っています。
７. いろんな病院でも下がらない高血圧→降圧剤の併用（降圧剤ランキング） 2013.3.31.→2013.9.3.→2016.4.27.
色々な病院で降圧剤を貰ったけど血圧がなかなか安定しない患者さんは多いものです。各種の降圧剤の効き目（＝実力）や性質を熟知して併用して行けばたいていの高血圧症は安定します。ここでは私の頭の中にある「眞弓の独断と偏見に基づく」降圧剤ランキングを、最もポピュラーな降圧剤ノルバスク(5mg)1錠=100点として、各種の降圧剤を点数化してご紹介しましょう。
ちょっと専門的ですが、右端には各種薬剤に関しての私のコメントが書いてあります。エクセル→プリントアウト→スキャンした図表でちょっと字が小さいですが拡大して読んで下さい。
▲「眞弓の独断と偏見に基づく」降圧剤ランキング
６. いろんな病院でも治らない痛み、しびれ、めまい、咳、喉や首の違和感、動悸など→SSRIやSNRI投与 2012.5.24.
とにかく色々な病院の色々な診療科に診てもらったけど原因が良く分からない、痛みやいろんな症状が良くならない、いろいろな薬に過敏ですぐに副作用が出て良い薬を処方してもらえない、などと悩んでいる方は結構多いものです。私はストレス対応能低下症などと呼んで、脳神経の伝達物質セロトニンやノルアドレナリンを増やす薬＝SNRI（サインバルタなど）やセロトニンだけを増やす薬＝SSRI（ジェイゾロフトなど）を投与しています。これらは抗鬱剤に分類される薬剤ですが、よその病院で良く処方されるけど中毒になりやすいベンゾジアゼピン系の薬だけは出さない様にしています。
５. 止まらない鼻血や抜歯後の出血→黄連解毒湯ふりかけ法 2012.4.29.
ワーファリン内服中の患者さんの歯科治療、ワーファリンは飲んでいなくても鼻血がしょっちゅう出て止まらない、などと言う事はありませんか？こんな時にオススメなのが「黄連解毒湯（おうれんげどくとう）」のエキス剤です。当院ではクラシエの漢方製剤を中心に使っているので比較的細かい粒子の粉末状です。黄連解毒湯は黄連、黄柏、黄ごん、山梔子（サンシシ＝くちなし）の４味からなる漢方で通常は胃炎やアトピー性皮膚炎、高血圧症などに用います。
この黄連解毒湯は止血作用が強く胃洗浄液に混ぜて胃潰瘍の出血などにも良いのですが、鼻血や歯肉の出血にはこの漢方薬エキスを直接あるいはガーゼにつけてから創部を圧迫止血します。出血しやすいワーファリン投与中や肝硬変などの患者さんでもあら不思議、ぴたりと止血します。前もって１−２包内服しておくのも良いでしょう。
昔ペースメーカーの手術を盛んにやっていた頃に、ペースメーカーポケットの止血に使えないかと、クラシエの漢方薬のエキス剤に含まれる雑菌の数を調べた事があるのですが一包に数個程度で口腔内や鼻腔内の傷に直接振りかけても全く問題ありません。
4. 抜けない指環→凧糸縛り付け法
指輪がいつの間にか関節を越えられなくなっていて抜けない！大切な記念の指輪なのに泣く泣く宝石店に行きカットしてもらった、などと言う事はありませんか？開業してから１回しかやってないけど結構大事な手法だと思っています。３０年ほど前に下関中央病院の整形外科の先生に教わりましたので整形外科のドクターには一般的なのかもしれません。
文章で説明するのはちょっと難しいのですが、患者さん御自身または家族が自宅でもできない事は無いので取り敢えず凧糸ぐらいの比較的丈夫な糸を１メートルぐらい用意して下さい。なんとか指輪と指の皮膚の隙間をくぐらせます（下図参照＝初めてSketchBookExpressというMacの無料アプリで描いていますので多少の稚拙さは勘弁して下さい）。
末梢側の糸を指輪の直下から指の末端側に向かってバネのコイルよろしくビッシリときつく巻いて行きます。通常は指が浮腫んでいたりチアノーゼぎみだったりしますがめげずに幅５mmになるまでキツく巻いて行きます。ここで今度は糸の持ち手を変えて中枢側の糸（＝リングの下を潜っている）をゆっくりとほどいて行きます。ニクロム線みたいにビッシリと巻いた糸の上をリングがチビチビと末梢側に移動して行きますから、キツく巻いた５mm先の末梢側までほどいたらリングがレールの上を５mm末梢側へ移動します。関節の一番太いところを越えるまで、もう一度同じ事を繰り返します。さらに５mmほど末梢側へ移動させれば通常は関節を越えますので、ここで指輪を引き抜きます。コツは糸をキツく巻く時に指の色が一時的に紫色＝チアノーゼになったり、患者さんが痛がったり、浮腫んだところが極端にへこんだりしますがめげずにキツく縛る事です。
分からなくなったり失敗したら来院して下さい。凧糸持参でお願いいたします。
▲指輪の下を潜らせた糸＝赤は左上が末梢端、右下が中枢端です。
3. くしゃみ鼻水→小青竜湯→荊芥連翹湯（2012.4.22.アップロード）
アレルギー性鼻炎と言えば、コンタック鼻炎カプセル等という市販の抗ヒスタミン剤やアレジオンなどの医療用の抗ヒスタミン剤であろう。いずれも比較的即効性もありよく効くことが多いが、昼間眠たかったり集中力を減弱させて車の運転や仕事に支障を来すことがある。このような場合にお勧めなのが漢方の小青竜湯である。甘酸っぱく辛い、ちょっと変な味だが漢方といえども5分以内に効く即効性がある。小青竜湯は勿論、鼻水やクシャミ、咳などの感冒の引き始めにも非常に有効である。インフルエンザの予防薬としても使える。喉の痛みには葛根湯なのでお間違えのなきように。
小青竜湯が鼻水とセキ専門なのに対して、各種アレルギー（アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎、ジンマシン、気管支喘息など）にオールマイティーなのが荊芥連翹湯（子供には柴胡清肝湯）です。ツムラの能書きにはニキビや鼻炎、扁桃炎などに有効な事になっていますが、どうしてどうしてアレルギーなら何でもござれって言うのが良いねー。だましチャーいないけどだまされたと思って飲んでみて下さい。ちょっと苦いけどね。
2. アレルギー性鼻炎の鼻糞バリバリと鼻出血→リンデロンVG軟膏を鼻の穴に塗り込む
アレルギー性鼻炎に悩む人なら誰しも経験するのが鼻の穴の中に鼻糞がこびり付き固くなって痛むとともにひび割れて出血する、あるいは鼻をカミすぎて鼻の穴がヒリヒリする、などの症状ではないだろうか？是非一度お勧めしたいのがステロイドと抗生物質ゲンタマイシンの配合剤リンデロンVG軟膏を鼻の穴にグリングリンと思いっきり豪快に塗り込む方法である。品は無いが人差し指の先にチューブから1cm位気前よく塗ってから、指ごと鼻の穴に突っ込んでグリングリンと隅々まで良く塗り込む。ほぼ1-2回で完治すること請け合いである。リンデロンVG軟膏は何処かの病院で処方してもらう必要があるが、他のどんなステロイド軟膏でも代用が効く。唇の荒れにもリップクリームなんかをセッセとこまめに塗るよりリンデロンVGを1-2回塗ればすぐ良くなります。
1. 脚のつり→芍薬甘草湯
最近はどこの病院でも処方しますが‥‥
芍薬と甘草の二味から成る漢方薬であるが、筋肉のつりに関しては飲んで1-2分で著効を示す。足が吊りそうな予感がしたら寝る前に一服飲んでおくのも良いし、エキス剤1Pとペットボトルの水を枕元に置いておくのも良い。バスケットボール等の試合で連チャンの二試合目などには試合の前から飲んでおくのも良い。勿論、足が吊ってから飲んでも即効性がある。これに匹敵するような西洋薬の経口薬は全く無い。