歩いた時に胸が圧迫される
運動したり階段や坂道をのぼるなどふだんより酸素を必要とする状況(=労作時)では、心臓は血流量を増やす必要があります。ところが動脈硬化により血液の通り道がせまくなる(狭窄)と血液の供給が間にあわなくなり、心臓が酸欠状態となって狭心痛や息苦しさ、胸部締め付け感が起こります。症状は一般に一時的で数十秒から長くても10分くらいでおさまります。胸痛時のニトログリセリンなどの舌下錠やスプレーを処方されている方は、この時点で積極的に使用(我慢せず疑わしきは罰する気持ちで‥‥)して、 急性心筋梗塞に移行しないように努める必要があります。このように、血液の需要と供給のバランスがくずれて起きる心臓の酸欠状態のうち通常は冠動脈の動脈硬化による狭窄が原因のもの(↓下図左上部)を「労作性狭心症」と呼びます。
2012年2月、天皇陛下が冠動脈バイパス手術をお受けになられましたが、天皇陛下のご病気がまさしくこの病気、ということになります。治療としてはバイパス手術の他に、冠動脈形成術(風船治療+ステント留置など)、はたまた内服薬治療のみ、などが考えられます。
労作性狭心症の方はしばしば高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を合併している事が多いものです。これらの基礎疾患の厳密な管理治療が必要なことは言うまでもありません。
次の「胸が痛い、圧迫感や不快感が有る」の項も参照してみて下さい。
2016.4.24. 文責 眞弓久則
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