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貧血
 貧血とは赤血球中の血色素ヘモグロビンの濃度が低下したり、赤血球の数(赤血球数)や体積(ヘマトクリット値)が減少した状態を言います。ヘモグロビンは体中に酸素を運搬する働きをするため、貧血になると全身へ十分な酸素が行き渡らなくなります。ヘモグロビンのおよその基準値は、男性=13-17g/dL、女性=11-15g/dLですが、貧血は赤血球数やヘマトクリット値などと合わせて総合的に診断されます。
(注:立ちくらみやスーッと血の気が引いたり、目の前が暗くなったりする「貧血」は俗にいう『脳貧血』と言われるもので、ここで言う貧血とは異なります。こちらの症状の方は「ストレス対応能低下症」の項を参照して下さい。)
 一口に貧血と言ってもいろいろな貧血がありますが(下図1)、そのほとんどが体の鉄が不足して起きる鉄欠乏性貧血です。下図1には書いてありませんが、その次によく見られるのが腎性貧血です。軽度であっても慢性腎臓病(CKD)と云う状態になるとやはり軽度の貧血になります。また骨髄の造血幹細胞機能不全による再生不良性貧血、その一歩手前の骨髄異形成症候群などというのもあります。胃切除後などにはビタミンB12や葉酸が不足して起こる巨赤芽球性貧血などが見られ、また様々な原因で赤血球が壊されて起きる溶血性貧血などがあります(下図1)。
 女性は月経による定期的な出血があるため鉄不足になりがちです(下図2)。基本的に赤血球で使われた鉄はリサイクルされますが、女性だけでなく男性でもその一部は体外に失われます(下図3)。肉や赤身の魚、レバー、ホーレンソウや小松菜、ヒジキなどがお勧めですが(下図4)、ヘモグロビンが10g/dLを切っている場合は鉄剤の内服が必要です。鉄はヘモグロビンの中心的な要素として不可欠ですが、赤血球のボディーを作るのはやはりタンパク質です(下図4)。野菜に多く含まれるビタミンC、肉類に多く含まれるビタミンB群(下図5)、また鉄の吸収を促進するクエン酸=酸っぱいものも大切です。

2016.4.19.
更新 眞弓久則


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図1.貧血の種類

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図2.貧血の原因

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図3.鉄の代謝

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図4.貧血の食事療法1=鉄とタンパク質を十分とる

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図5.貧血の食事療法2=ビタミンCB群などバランスよい食事をとる

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図6.食事療法Q&A

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