ステロイド軟膏の塗り方
当院ではアトピー性皮膚炎や皮膚湿疹、尋常性乾癬などの皮膚疾患に対して下記の様な様々な強さのステロイド軟膏と保湿作用に優れるヒルドイド軟膏の混合軟膏をしばしば処方いたします。
1. ロコイド軟膏(比較的弱いステロイド)+ヒルドイド軟膏:軽症湿疹や顔面用
2. アンテベート軟膏(比較的強いステロイド)+ヒルドイド軟膏:中等症湿疹や首から下用
3. ジフラール軟膏(強力なステロイド)+ヒルドイド軟膏:重症湿疹や首から下用
4. リンデロンVG軟膏(抗生物質入りステロイド)(+ヒルドイド軟膏):感染性湿疹など用
ステロイド軟膏+ヒルドイド軟膏の混合軟膏などは十分な量を十分な期間塗布する必要があります。大量に内服(口から飲む)するステロイドは体の免疫力を低下させたり糖尿病になりやすかったり顔が満月様になったりなどの副作用が起こる可能性がありますが、皮膚に塗るステロイド軟膏や気管支喘息などに用いる吸入用ステロイドにはこの様な副作用は全くありませんので安心して使用して下さい。
軟膏塗布の適正量とは?
軟膏は人差し指の第一関節から先ぐらいの量(小さじ一杯)を両手の平を広げたぐらいの広さに塗って下さい。まず一指節分の軟膏を5-6カ所に分散させた後、叩き付ける様に広げて行きます。塗り終わったらティシュペーパー1枚がしばらく逆さにくっ付く程度が適正量の目安です。
皮膚は表皮の奥にある真皮と云うところで細胞分裂が起こって作られ表皮になって剥がれ落ちるまでに3週間かかります。湿疹などの発赤や痒みを伴う炎症が数日間の軟膏塗布で治った様に見えても実際は皮膚の奥深くではまだ炎症がくすぶっています。軟膏はくれぐれも十分な期間塗布して下さい。
顔面のステロイド軟膏塗布上の注意
顔面のステロイド軟膏は連用しすぎるとやめた時に酒さ様皮膚炎を起こす危険性が指摘されています。顔面のステロイド軟膏は1週間使ったら一度休薬する必要があります。
酒さ様皮膚炎を防ぐために当院では首から上の湿疹には免疫抑制剤のプロトピック軟膏を月〜金曜日+ステロイド軟膏を土日曜日の週末だけ塗る方法を用いる事があります。症状に応じて金〜日曜日をステロイド軟膏にする場合もあります。
2016.4.21.更新 眞弓久則