睡眠薬を飲むとボケるって本当ですか？
一度睡眠薬を飲みだすと癖になるって本当ですか？
睡眠薬を飲むと次の日に目が覚めないらしいってウワサは本当ですか？
眠れないあなたへ：睡眠薬と精神安定剤
最近、歳のせいかどうもぐっすり眠れない、ということはありませんか？人間は年齢を重ねるごとにだんだん眠れなくなってゆきますが、これは決して病気ではありません。人間として自然な経過（過程）と言えるでしょう。
赤ちゃんはおっぱいを飲む時以外は一日中眠っていますが、だんだんと昼間に覚醒、夜に睡眠というリズムができてきます。若いときは朝寝坊するほどに眠れていた人でも歳を取るとだんだん睡眠時間が少なくなってきます。これは脳内の睡眠のレセプターが加齢に伴って減少してゆくためだそうです。
眠たくて次の日に差し支えるようなら思い切って睡眠薬（＝睡眠を導入するが翌朝はスッキリ醒める）を飲んでみましょう。（なお、精神安定剤とは昼間に眠たくない程度で不安感をとる薬のことです。化学的にはベンゾジアゼピン系などといわれ睡眠薬と非常に近い物質です。）
睡眠障害には（1）寝付きが悪い（入眠障害）（2）途中で目が覚める（中途覚醒）（2）朝早く目が覚める（早朝覚醒）などがあります。昼間に起こったことをくよくよ考えて眠れない、朝早くから目が覚めて眠れない、等に加えて食欲がない、疲れやすい、色々なことに対しての興味がわかなくなった、死んでしまいたいと思うことがよくある等という症状のある方は「うつ病」の可能性もあります。
単純な睡眠障害であっても、高血圧症、糖尿病、高脂血症などを合併している場合、眠れないことがそれらの合併症を著しく悪化させます。さらに一日7時間程度眠る人が最も癌や心臓脳血管障害にかかりにくいことがわかっています。
一度睡眠薬を飲みだすと癖になる？：ベンゾジアゼピン系などでは確かにそういう面もありますが、当院では非ベンゾジアゼピン系や抗鬱剤系のトラゾドンなどの習癖性の少ない薬剤を中心に処方します。寝酒（アルコール）の方が睡眠薬より副作用が大きいのです。寝付きの悪いときだけ飲んでも良いし、睡眠薬の離脱法としては一旦毎日服用することで十分に睡眠の習慣を確立した後、数週間ごとに半量ずつに減量して中止する方法、減量後隔日投与して中止する方法などがあります。
睡眠薬を飲むと次の日に目が覚めないらしい？：かつて広く使われたバルビツール系の睡眠薬は呼吸抑制が強かったのですが、現在の睡眠薬（ベンゾジアゼピン系を含めて）は安全域が非常に広く、自殺目的で数十錠くらい飲んでも死ぬことはありません。
睡眠薬を飲むとボケが早く来るらしい？：「全くのデマ」と云う訳ではなく、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では確かにそういうことが証明されているようです。まあ当院では上述のごとく非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を出すようにしていますし、毎日眠れずに悶々としている人ほど早くボケたり鬱病になったりするのも事実です。
2016.4.27. 更新：眞弓 久則
