ニコチン依存症→禁煙外来
タバコは体に悪いと頭では分かっていてもなかなか止められない人は多いものです。かく言う私自身も数年前までは喫煙者でしたので気持ちはよーーく分かります。肺癌にはなりたくはないが癌が当たるのは俺とは限らない、確率の問題だ、などと逃げていませんか?最近は公共施設、タクシー、レストラン、果ては路上まで次々に禁煙にされてしまいましたよね。病院なんかは「敷地内」全部禁煙です。
タバコぐらい許してよ、つまんない人生、一本のやすらぎや楽しみぐらい必要だよ、ストレス解消にね。なんて言っているうちはまだあなたはニコチンに支配されています。ストレスが一番無くなっているはずの朝早くから一本吸うことでさらにイライラを増長させ、次の一本をニコチンレセプター様に吸わされている訳です(図1)。
まあ四の五の言う前に下図2−4で喫煙のデメリットとメリットを十分に理解して危機感を十分に高めましょう。医師ではなく意思の力で禁煙できる方に関しては私の出番は全くありません。
「医師の力」が必要な方々の為に、最近はチャンピックスなどと言う「ニコチンもどき=ニコチンの代わりにニコチンレセプターにくっ付く」の薬が発売され保険適応になっています。通常は少量から漸増して合計3ヶ月間服用することで完全禁煙を達成します。チャンピックスは「始めの一週間はタバコを吸っても良いが次第に不味くなって自然に禁煙できる」と言う事になっていますがこの間に完全に禁煙しないといけません。やはり多少の「意志の力」が必要です。
チャンピックスは飲み始めに嘔気や不眠=寝付きが悪くなるなどの副作用が出る事があり、少量から一週間をかけて徐々に増量して行きます。稀にではありますが意識障害などの副作用が出る事があり、チャンピックス内服中は原則として車の運転は禁止です。
チャンピックスが嘔気や不眠などの副作用が強すぎて飲めない方には従来型のニコチンパッチ(ニコチネルTTS)もあります。こちらは含まれるニコチン量の多い大きいパッチから次第に小さいパッチに減量し、2ヶ月後に完全禁煙を達成します。ニコチンパッチは本物のニコチンを経皮的にゆっくりと吸収させる訳ですが、貼付部位がかぶれたり、貼付中にさらに喫煙すると血中のニコチン濃度が上がり過ぎる、などの副作用があります。
3ヶ月時点での禁煙成功率はチャンピックスで約70%、ニコチネルTTSで約60%ぐらいでしょうか。一旦成功しても1-2年後には再度喫煙している人が20-30%ぐらいはありますので、大雑把にいうと長期成功率は50%ぐらいでしょうか。皆様の御健闘をお祈りいたします。
最近、強力なエビデンスをもとにニコチン依存症の方々のヘリクツを論破するサイトを発見しました。下記にリンクを張っておきます。
http://www.tokyo.med.or.jp/nosmoking/docs/no_smokingQandA.pdf
2016.4.21.更新:眞弓 久則:
図1ニコチン依存症の脳内メカニズム
図2禁煙の経時的メリット
図3喫煙がリスクを高める病気
図4.禁煙の経済学