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睡眠時無呼吸症候群
 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)とは睡眠中に10秒以上の呼吸停止=無呼吸が5回以上繰り返される病気です。通常は配偶者や同僚に酷いイビキや夜中の無呼吸を指摘されることが多く、本人の自覚症状としては起床時の頭痛、熟睡感のなさ、昼間の眠気などがあります(図1)。昼間の猛烈な眠気は時に交通事故の原因にもなります。SASの原因として肥満が一般的に言われますが必ずしも太った方だけでなく痩せていても起こることがあり、扁桃腺肥大、巨舌症、鼻中隔湾曲症+アレルギー性鼻炎+蓄膿症などによる鼻づまりなどが原因になる場合もあります。SASの患者さんは高血圧症、心臓病=狭心症や心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高脂血症などのリスクも大幅にアップすると言われています(図1)。
 以前は入院しないと出来なかった睡眠時ポリグラフィーは最近では簡易検査もあり、宅急便で御自宅に届けて検査を済ませる、なんてことも可能です(図2)。治療には持続的気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure=CPAP)呼吸装置を使いますが(図3)、最近は音も静かでCPAPの圧調節も器械が自動的に行うオートモードが付いており快適な設定が自動的に行われます(図4)。またCPAP装置の設置には業者さんが御自宅まで伺いますし、一ヶ月毎の来院日にはその一ヶ月間のデータが入ったメモリースティックを持参頂くと直ちに解析できる仕掛けです。CPAP使用にはマスクが必要(図4)で始めのうちは皆さん多少の違和感を訴えられますが、それ以上に快適な睡眠とスッキリと爽快な朝の目覚めが約束されるようです。一度ご相談ください。
 またCPAPを使用するほどではない軽症の患者様方(表1)には近所の歯科をご紹介してマウスピースを作っていただいています(図5)。マウスピースはペットボトルの様なプラスチック製ですが、これだけでもぐっすり眠れてイビキも消失し朝方の頭痛や昼間の眠気が無くなった患者様も多いです。

文責:眞弓 久則 2016.4.24.更新



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図1.睡眠時無呼吸症候群の症状、原因、自然経過


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図2.睡眠時無呼吸症候群の在宅のままの宅配便による簡易検査


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図3.コンパクトなCPAP装置


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図4.経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)



表1.マウスピース適応の判定基準
2013.5.25.こうの歯科の河野恭範(こうのやすのり)先生より提供

マウスピース適応症の判定基準
1.閉塞性の睡眠時無呼吸症候群(OSAHS)で重症でないこと
2.年齢18歳以上
3.精神障害がないこと
4.寝付きが良い(睡眠潜時<30分)
5.鼻呼吸がスムーズにできる
6.中川式呼吸テストが陽性
7.重症(手術適応)の小下顎症でない
8.顎関節の構造や機能に異常がない(顎関節痛がある患者は適応外)
9.下顎前方可動距離が8mm以上
10.骨植のよい残存歯が20本以上ある
11.極端な歯列不正がない
12.不良インプラントや不良(外れそうな)補綴物がない

睡眠時無呼吸症候群5-squashed
睡眠時無呼吸症候群6-squashed

図5.マウスピース(アクチバートル式スリープスプリント

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