薬の副作用はありませんか?
薬の副作用について
患者樣方の様々な症状や訴えに対して、医師は様々な薬を処方します。薬の処方に際して「副作用はありませんか?」とのご質問をしばしばいただきます。ここに我々がよく使う薬を収録した「今日の治療薬」という本があります。この本には約一万種の医薬品が収録されていますが、この一万種の薬すべてになんらかの副作用が必ず記載されています。また、どんなに安全そうに思えるもの、例えば御飯(食べ過ぎると肥満)やお水(飲み過ぎると心不全で浮腫)、デンプンで作ったニセ薬にでも副作用は10%ぐらい存在します。
患者樣方が病院に来院される以上、何らかの苦痛があって来院される訳ですから、医師としては通常何らかの治療薬をお渡しする意外治療の方法はありません。この際、患者-医師間の信頼関係が非常に重要です。原則として医師は「処方した薬をすべて飲んでいただいた」、と云う仮定の下に次の外来時に薬を増減します。薬局からもらった副作用説明表をみて、これとこれは危なそうだから飲まずに置こう‥‥とかしていませんか?医師の処方を信頼して内服や外用できないのであれば、はじめから当院を受診される必要はなく、ご自宅で富山の入れ薬か、薬局で購入した自分の気に入った薬を飲んで、ご静養されてはいかがでしょうか?
放っておいても心配、薬を飲むのも心配、何もかも心配で痛みや苦しさはだんだん増幅する。こういう状態は「不安障害」または恐怖症かもしれません。医師から薬を処方された時、「やっと楽になるかもしれない」というポジティブな考えでなく、「副作用は大丈夫かしら?」という心配の方が先に立つあなた、あなたは「不安障害」や「うつ病」という心の病気の可能性があります。どうしても「薬」が怖くて飲めない方は、カウンセリングや認知行動療法などが必要かもしれません。
上述したように、すべての薬に副作用の可能性はありますが、現在日本の厚生労働省から承認されている大部分の医薬品の場合、副作用が発生する頻度はすべて合計しても一剤当たり20-30パーセント以下です。病気に苦しむあなた、不安なお気持ちは十分にわかりますが、とりあえず副作用を心配する前に主作用に期待して、医師から処方された薬を試してみてはいかがでしょうか?飲んでみて本当に副作用があれば別の薬に取り替えてもらってはいかがでしょうか?また、実際に飲まなかった薬の量と頻度は正直に正確に医師に伝えるようにしましょう。
2016.4.26. 改訂:眞弓 久則
副作用???