深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は四肢(特に下肢)の動脈と伴走する深部静脈に血栓が形成され、閉塞をきたすものです。無症状のこともありますが、閉塞部以下の患肢の疼痛、腫脹、熱感、表在静脈の拡張などが出現します。誘因は不明な場合と、手術後や乗り物に長く同じ姿勢で乗っている場合などに発生するものがあります。左下肢に好発しますが、左足が右に比べて腫れ上がり、ふくらはぎの筋肉が痛くて、表在静脈が浮き上がっていたら深部静脈血栓症が疑われます。放置すると水疱形成や壊死をきたすこともありますが、それ以上に危険で致死的なのは、急性期に静脈内に形成された血栓がとんで、肺動脈内につまり肺梗塞を起こす(強い呼吸困難をきたす)ことです。軽度なうちは抗血小板剤や抗凝固剤の内服で、重症なものは血栓溶解療法や血栓除去術を、肺塞栓を起こしたものは血栓溶解療法や人工心肺下の血栓除去術が必要になります。
エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)の項も参照して下さい。
2016.4.19.更新 眞弓久則
▲急性期深部静脈血栓症(有痛性青股腫):新見正則著書より