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薬拒絶症
 「 薬拒絶症」とは私が勝手に付けた病名ですが、患者さんの中には、漢方薬を含めてどんな薬も「怖くて飲めない」と云う方がいらっしゃいます。そこまで極端ではなくても、高血圧症、高脂血症、高尿酸血症、糖尿病などの薬を一つでも飲み始めると必ず様々な「副作用」=(めまい、立ちくらみ、嘔気、動悸、息苦しさ、筋肉痛、腹痛、気分不良など)が出現して薬を3日も飲まずに自己中止してしまう患者さんは結構多いものです。通常はより適切と思われる薬と変更する事で継続的に内服出来る様になるはずですが、変えても変えても「副作用」が取れない訳です。実際に蕁麻疹っぽい湿疹が出たりする場合もあります。       
 軽い人は説得、説明、なだめ透かしが有効ですが、中等症になると「SSRI」として抗鬱剤が有効です。この場合はSSRISNRINaSSA、四環系、三環系などそれぞれの抗鬱剤に特有の副作用があり、肝心の主作用よりも副作用の方が先に出現したりする事も多いため、相当の根回しが必要な訳です。 本来、お薬は「副作用」の心配よりもこれで自分の病状が緩和されるというように「主作用」に期待して飲むものだと思うのですが、「 薬拒絶症」の患者さん方は主作用への期待よりも副作用の心配の方が先に立つようです。
 それでも、ソワソワ、ドキドキ、セカセカ、イライラなど何かと問題の多い患者さんが「普通」の患者に変身して、本来必要な降圧剤や抗高脂血症薬などをキチンと内服出来る様になるのは診ていても喜ばしいものです。 
 そして最後に残るのは頑強な「薬物恐怖症」とも云うべき方達なのです。この様な方々は処方自体を拒絶する場合もありますが、多くは処方された薬の「副作用」を徹底的に勉強あるいは妄想して自分で飲むか飲まないかを選別します。 飲む場合でも1-2回飲んで様々な副作用を訴えて自己中止してしまうのです。
 本当に訴える「副作用」がある場合もあれば、「自分が飲みたくない」と云う意思表示、の様な感じで拒絶されている様な気がしています。患者さんのご家族でこの文章を読んでおられる方、いかがでしょうか?
 この様な状態に陥っている人は、以前に他院でベンゾジアゼピン系などの精神安定剤などを処方された方も多いかもしれません。年を取って段々猜疑心が強くなり、家族の中でもお気に入りの「××ちゃん」以外は寄せ付けずに引き蘢っている、なんてことはありませんか?
 ちょっと脱線してしまいましたが、とにかく必要な薬がなかなか飲めない方、一度ご相談下さい。

2016.4.21.
更新 文責 眞弓 久則

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