戻る

眠れない
 年齢を重ねてくるとだんだん眠れなくなります。(1)寝付きが悪く(入眠障害)、(2)途中で目が覚め(一度ぐらいの中途覚醒は仕方ないでしょう)、(3)朝は早くから目が覚める(早朝覚醒)、ことがある。これは人間本来の姿であり必ずしも異常とは云えませんが、眠れずに翌日に差し支える様なら治療が必要です。最近は習癖性の少ない非ベンゾジアゼピン系の優れた睡眠薬がたくさん出てきています。原因や症状にあわせた薬を処方します。「睡眠薬は毒だ、次の日に目が覚めない、癖になる、ボケが早く来る」という噂はベンゾジアゼピン系の睡眠薬に限っては一部真実ですが、正しく非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を選択すれば心配は無用であると思います。高齢になると脳内の睡眠レセプターが減少するのが不眠の原因です。よく眠れて次の日にスッキリするのなら飲んで眠ったが勝ちというだけでなく、近年の研究では7時間程度眠る人が癌、脳卒中、心臓発作になり難いことが分ってきました。
 たしかにベンゾジアゼピン系と云われるグループの睡眠薬(たとえばハルシオン、レンドルミンなど)は比較的習癖性が強いかもしれませんが、習癖性のより少ない睡眠薬(アモバン、ルネスタ、ロゼレム、ベルソムラなど)もあります。ご安心しておやすみ下さい。特に糖尿病や高血圧症などの方は不眠により原疾患が悪化します。積極的に睡眠薬を飲んでグッスリお休み下さい。
 日本人は欧米人に比較すると眠れない時に酒に頼る傾向が強いようです。アルコールは一見よく眠れているようでいて睡眠の質を悪化させ、浅い睡眠にしてしまいます。さらにアルコールは依存性が強く、眠るのに必要な量が次第に増加しがちです。酒に溺れない様にしましょう。
 さらに不眠はうつ病の必発症状もあります。食欲不振や気分の落ち込み(抑鬱気分)、趣味やテレビなどがつまらない(興味の喪失)、自責の念、もう死んでしまいたい(自殺念慮)などの症状があればやはりうつ病を強く疑います。自分のがんばりが足りないからだ、などと一人で悶々としていないで早急に受診して下さい。
 対応できる疾患名の「軽症うつ病」「ストレス対応能低下症(+パニック障害、不安障害など)」も参照してみて下さい。

2016.4.25.
更新 眞弓久則

眠れない-squashed
おやすみなさい

戻る