アナフィラキシーとその重症度
アレルギー反応の中でも命に関わる重大な反応で喉頭の浮腫や閉塞、喘息症状のほかに腹部症状としての嘔吐や下痢、腹痛も加わります。花粉症(アレルギー性鼻炎や結膜炎)でみられる鼻水、鼻詰まり、クシャミ、目のかゆみのほかにも唇や口腔内、顔面全体に腫れが出たりします。もちろん全身に蕁麻疹様の湿疹やかゆみや発赤も出現します。重症化すると呼吸困難、血圧低下、意識消失、失禁などのアナフィラキシーショックに進展します。症状の悪化は急速に起こる場合も多く重症度によってはエピペン®と呼ばれるアドレナリン自己注射をしたり救急車を呼んだり早急な対応が必要です。
アナフィラキシーの原因としては卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツなどの食べ物が一般的ですが、蜂毒(スズメバチなど)や薬物(ペニシリンなどの抗生物質、アスピリンなどの消炎鎮痛剤、抗てんかん薬)、ラテックスと呼ばれる天然ゴムの成分なども原因となります。まれですが運動がアナフィラキシーを引き起こすことがあるようです。
アナフィラキシーの重症度は3段階に分けられます。重症度グレード1(部分的で軽症)→グレード2(広範囲に症状の拡大)→グレード3(アナフィラキシーショック)と症状が進行します。その間に重症度に応じたすみやかな対応が必要ですが、とくに重症度グレード2から3にかけては救急処置薬のエピペン®(アドレナリン自己注射薬)を使用する必要があります。グレード2以上では救急車も呼ぶ必要が出てきますが、下記の分類でグレード1に相当するアレルギー反応の経験のある方は医療機関に相談された方が良いでしょう。
内服の抗ヒスタミン薬の効果は限定的で、その効果を期待し過ぎると危険を招くこともあります。また、ステロイド薬は、急性期の症状緩和効果は期待できません。
症状が進行してショック状態に陥った場合は、アドレナリンが効果のある唯一の治療薬となっています。アドレナリンには、心臓・血管や気管支に作用して血圧低下や呼吸困難などを改善する働きがあり、この薬を自分で大腿部外側などに自己注射できるようにしたものがエピペン®です。
各症状とも部分的で、軽症のため、あわてる段階ではありません。症状が進行しないか注意しながら、安静にして最低1時間は経過を見守ります。
全身性の強い皮膚症状や粘膜症状があり、呼吸器症状や消化器症状も悪化してきます。医療機関を受診する必要があり、呼吸器症状や喉頭症状がさらに悪化しそうな場合、エピペン®があれば、注射を考慮します。
強いアナフィラキシー症状で、アナフィラキシーショック状態を考慮し、緊急に医療機関を受診する必要があります。エピペン®があれば、すみやかに注射する必要があります。
参照:http://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/40/medical/medical02.html
2016.4.21. 更新 眞弓久則