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慢性腎臓病(CKD
 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の異常を早めに見つけるために提案された新しい病気の概念です。蛋白尿などの腎臓の障害を来したり、GFR(糸球体濾過量)90mL//1.73m2未満の腎機能低下が3ヶ月以上持続するもの、と定義されています。通常は高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などが原因で発症し、国内では成人の19%(約2,000万人)がこれにあたります。一部分(全国で30万人)は進行して血液透析が必要となりますが、それ以上に厄介なのはCKDが糖尿病と同様に虚血性心臓病(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中(脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血)、閉塞性動脈硬化症といった、動脈硬化性疾患の強力な危険因子になると云うことです。
CKD(慢性腎臓病)の定義と計算式:http://www.m-junkanki.com/kennsinn/kennsinn_ckd.html
 蛋白尿などの腎臓の障害を来したり、GFR(糸球体濾過量)90mL//1.73m2未満の腎機能低下が3ヶ月以上持続するもの、と定義されています。
  男性の eGFRmL=194×Age^-0.267×Cr^-1.094
  女性の eGFRmL=男性の推算式×0.739
 年齢や性別で多少異なりますが、大雑把に云うと50歳以上で血清クレアチニン(Cr)の値が、男性では1.0 (mg/dL) 以上、女性では0.8 (mg/dL) 以上ならCKD(G3:中等度障害)の可能性が高いと云えます。

心臓血管病の危険因子としてのCKD
 CKDが虚血性心臓病(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中(脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血)、閉塞性動脈硬化症といった、動脈硬化性疾患の強力な危険因子になることがわかってきました。血清Cr値やGFR低下の程度によって危険度は異なりますが、心血管事故(総死亡)はCKDのない健康な人に比べて2-5倍位くらい高くなります。
 このためCKDの患者さんに対しての降圧目標は130/80mmHg(自宅では125/75mmHg)となり、一般の高血圧患者さんの基準(140/90mmHg:自宅では135/85mmHg)より収縮期、拡張期血圧ともに10mmHgずつ厳しくなっています。
 CKDの患者さんに対してはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(イミダプリル、カルネート、プレランなど)アンギオテンシンⅡ阻害薬(ARB)(オルメテック、ディオバン、ブロプレスなど) 、カルシウム拮抗薬といった降圧薬を中心に投与しますが、必要に応じてさらにいくつかの降圧薬を追加することもあります。薬を増やされることに対する抵抗感、副作用への不安など患者さんのお気持ちは十分理解できる所ですが、CKD合併(や糖尿病合併)がある場合の血圧管理は厳密に行うことが重要です。

CKDの生活・食事指導:

・水分の過剰摂取や極端な制限は有害です。一日1,500mLを目安としてください。
・生活習慣の改善が大切です。とにかく禁煙(必須です)、さらには減塩(一日摂取量6g未満)、肥満の改善(BMI<25が理想的ですが、まずは5%の減量から)など。
・蛋白質は0.6-0.8g/kg/日(体重50kgの方で一日約35g程度)に制限しましょう。
・摂取カロリーは30-35kcal/kg/日(体重50kgの方で一日約1600kcal程度)に制限しましょう。
・飲酒はエタノール量として男性で20-30g/日(日本酒1合)、女性で10-20g/日以下にしましょう。
・一日30分程度の適度な運動を心掛けましょう。

2016.4.17. 文責:眞弓 久則


CKD1-squashed
▲CKD重症度分類2012CKD重症度分類は2012年に改訂され下図のStage1-5→上図のG1-5となりました。G3は軽症に近い中等症のG3aと高度低下に近い中等症のG3bに分類されています。

CKD2-squashed
慢性腎臓病(CKD)の進行

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