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院長のボヤキ(61)2017.12.28.
軍学者の兵頭二十八って知っていますか?
 北朝鮮の原爆及び水爆の開発とその運搬手段としての弾道ミサイルの開発は、つい最近まで日本国内の左翼勢力(=産経新聞以外の新聞各社特に朝日新聞と毎日新聞と共同通信、テレビ各局、自民党左派を含む民進党、立憲民主党、共産党などの野党)によって封印されて来た日本の憲法改正および日本の核武装に関しての議論を遅まきながら活発化させつつあります。また、最近のトランプ大統領と安倍首相の会談ではトランプ大統領の方から日本に対して、日本の憲法改正+核兵器の保持+空母の保持の提案があったらしいとも言われています。
 以前から日本の核武装を正面から唱え、その具体的な方法を提示して来たのが「軍学者」を自称する兵頭二十八です。私は今年平成29年(2017年)2月ごろから集中的にこの兵頭二十八の著作を読み漁ってきました。アマゾンで注文した兵頭二十八の本は全部で44冊でした。いや実に衝撃的、斬新、かつ興味深かったです。今までに色々な作家の小説や随筆を読みましたが半年かそこらで同一作家の40冊以上を読破したことはありませんでした。兵頭氏曰く「自分は同じことは二度書かないからこれこれの事は以前に書いた本を読んでくれ」です。とは言いながら色んな著書の中で繰り返し出てくるのが日本の核武装についてです。
 あまりに沢山読みすぎて具体的な出典を忘れたのですが、確か「ヤーボー丼」かなんかだったと思います。日本は約2兆円くらいの金をかければ12隻ぐらいの潜水艦(ローテーションで最低でも6隻を動かしておく)と潜水艦発射型の核ミサイルSLBM(これにぴったしの固形燃料型ロケットは既にある)を一年以内に完成できるようです。憲法の問題もあるのであくまで「報復攻撃用」です。日本の皇居あたりに水爆が打ち込まれたら確実に敵国を同定し、北京や上海、モスクワ、ワシントン、ロンドン、パリあたりに確実にピンポイントの報復攻撃が出来る事、が大切なんです。
 因みに東京以外でターゲットにされるのは神戸の潜水艦造船施設、関空近くの熊取町だったかの核施設、茨城県の東海村核施設、青森県六ケ所村核施設あたりが第一選択だそうです(写真1)。日本の潜水艦は大東亜戦争の頃から抜群の性能を誇っており原子力潜水艦ではありませんが支那からは目の敵にされているようです。六ケ所村は確かプルトニウムの貯蔵施設があるのでしょう。詳細は写真1の「東京と神戸に核ミサイルが‥‥」を読んでみて下さい。
 兵頭氏によると、どこかのwebサイトを使うと、落ちた原水爆のサイズと爆発後の被害の広がりが計算できるらしいですが、東京に落ちたら風向きで違いますが所沢(たぶん岩槻も)は大丈夫(=直接の爆風被害はない)みたいです。日本には核シェルターは全く用意されていませんが、兵頭氏曰く、各都市の駅周辺の地下駐車場だけでもだいぶん違うようです。都内には地下鉄がいっぱい走っていますが人口比でいうとそれだけではまだ足りないとか。我がさいたま市岩槻駅の地下にも大駐車場を早急に整備してほしいものです。これまで積極的に核攻撃に対する備えを怠ってきたツケが回ってきています。
 原水爆は破裂させる高さを調節して、破壊させる広がりをとるか半永久的放射能汚染化をとるか、だそうです。大きさにもよりますが、例えば上空2-3キロで最大面積破壊となり地表面爆破で一帯は半永久的に放射能汚染されて使い物にならなくなります。潜水艦造船所のある神戸、核施設の東海村などは施設そのものの重要性もありますが周辺に暮らす、潜水艦や核兵器を完成させるに不可欠な優秀な技術者たちが根こそぎ殺されてしまうわけです。
 最近評判の弾道ミサイルを撃ち落とすパトリオットやアメリカ陸軍が開発した弾道弾迎撃ミサイルTHAADなんかは核兵器の抑止や撃ち落としには到底程遠いようです。イスラエルあたりで弾道ミサイルをパトリオットで撃ち落とした実戦経験があるようですが打率は5割程度。THAADに至っては向かってくる弾頭はデコイも複数あってスピードはマッハ20-30の超高速であり、もちろん実戦経験は無し。兵頭氏曰く、500m先からライフルで撃たれた玉を鉄扇で叩き落とすに等しい(=非常に難しく現実的ではない)とのことです。
 北朝鮮にしろ支那にしろ怖いのは核兵器を持っているからであって通常兵器は大したことはない。特に北朝鮮などの空軍は無きに等しい。北朝鮮で怖いのは陸軍の歩兵の数でしょう(敵国占領の歩兵は極めて重要で原水爆を何発撃ち込んでもそれだけで敵国を降伏はさせられません。トドメに攻め込む戦車+歩兵が重要なんです)。まあこの「戦車」も北朝鮮のは旧式のソ連製か何かで、アメリカや日本の戦車の敵ではないでしょう。近代化されてきたとはいえ支那中共軍の通常兵器もそう大したことは無いようです。特に問題となる空軍なんかは、戦闘員の訓練時間の不足、訓練に要する燃料不足、ロシア製コピーの戦闘機自体の耐久性と整備性に多大な問題を抱えているようです(近代兵器は設計図がソックリあっても同じものができるわけではないんです)。さらには現代の戦闘機同士のドッグファイトというのは個々の戦闘機の性能云々よりもミサイルの射程と性能、レーダーやスパイ衛星による監視システムで勝負がきまるようです。
 「今敵国のなになにという航空基地で何機の戦闘機や爆撃機がスタンバイしていて、何機がどこそこの方向に向けてなになにの速度で発進した」とわかったら迎撃した戦闘機は100km以上も離れたところから敵機の予定の航路付近へミサイルを各機あたり2発づつくらい打ち込んでおく。各ミサイルはGPS誘導で進み最後は敵戦闘機の形や赤外線などを認識してピンポイントでドカンと行くわけです。自衛隊は世界最強と言われるアメリカ軍のステルス戦闘機F-22は売ってもらえず、F-35を次世代の主力戦闘機にしたようです。これは現在のF-15などでも十分に支那やロシアと渡り合えている所に、巡航速度マッハ1以上も出せてステルス性の高い強力すぎる戦闘機を自衛隊が保持することは「東アジアの軍事バランスを崩してしまう」ということらしい。まあF-22ってのは数機でもトンデモなくヤバイ戦闘機らしいです。
 もう一つ肝心なことは「中共軍は決して支那国民軍ではない」という点です。支那事変や大東亜戦争中の支那には群雄割拠の馬賊なんかがたくさん居たようですがそれに近い。中共軍は決して自国のために戦争するのではなくあくまで「中国共産党」のために戦うわけです。そもそも支那や儒教国家では一族親子兄弟に対しての「愛」はあっても「公共心」はまるで無い。国家に対する忠誠心なんてものはないらしいです。小隊長大隊長旅団長師団長などと階級が上がることはそのまま「自分の賄賂をかき集める対象の子分たちが増える」ことになる。まあ要は「士気」の問題ですよね。
 海軍力でも似たようなものなのですが、現在日本の自衛隊に導入されている護衛艦(「かが」なんか名前からしてそうですがもう日本の帝国海軍空母加賀の再来ですね。実際、トランプさんの要請を受けてか同型の護衛艦いずもを空母に改修するという話もありますよね)、アメリカ海軍からコピーしたイージス艦、潜水艦をはじめとする軍艦や偵察機P3Cなどはアメリカ海軍と一体となって特に高度に電子ネットワーク化されており、一朝有事には米軍が指揮権を握って、飛んでくる敵のミサイルはイージス艦からのミサイルで撃ち落とす。敵の空母などは艦対艦、空対艦、あるいは地対艦ミサイルで撃沈するのだそうです。ここでもやはりここの船の性能というより、レーダー性能+ネットワーク構築力+偵察機性能+ミサイルの性能などで勝負が決まるようです。
 海軍関連で兵頭氏が強く推奨しているのは核兵器のない日本やベトナム、フィリピン、台湾などの諸国がいかに貪欲醜悪な支那と対決して行くか、と言う点です。答えは簡単で「ひたすら機雷を撒いて支那を海上から雪隠詰めにしてしまえ」と言うことです。日本だけではなく南シナ海で国境問題を抱えるベトナムやフィリピン、インドシナ、ブルネイに一隻100万円かそこらの安い潜水艇を供与し安い機雷を支那の周辺に大量にばら撒く、すると支那への中東などからのオイルの輸送が遮断され中共政府は原油を軍事用に囲い込む、民衆の一揆を誘発してまた群雄割拠の戦国時代に再突入する、みたいなシナリオです。支那周辺の海は遠浅で大型船の航行できる航路は限られているらしい。一旦そこに機雷が敷設されると例えば大型タンカーによる中東あたりからの原油の輸送に関して国際的な保険会社が保険を掛けなくなる、すなわち輸送が出来なくなる、と言うことらしいです。逆に日本なんかはマラッカ海峡を封鎖されたりしても大回りして太平洋側からどこにでも船づけできるのです。
 そして件の尖閣問題です。「たいした島では無いから中国にくれてやれ」なんていうことを言うバカな民主党の議員なんかもいたような気がしますがこれは一事が万事で、尖閣の次は沖縄、対馬壱岐、佐渡ヶ島そしてまた九州、本土と次から次に狙われます。(皆さんがよく使われる「中国」という国名は、ジャイアンがのび太たちに「今後は俺様のことはジャイアン様と呼べよ!」と言って、のび太たちが「ジャイアン様」と言っているのに相当します。日本で「中国」とは広島岡山あたりの「中国地方」のことです。混同しますよね。いわゆる「中国」は中華思想に則って自国を「世界の中心」と言っているわけです。そんなものに従う義理は1mmもありません。差別用語でもなんでもない地理的に的確に表現出来る「支那」=Chinaが世界的な標準用語です。)大東亜戦争の後、中共軍は1951年までにラサを占領しチベット全土を制圧しチベット自治区にしてしまいました。同様にイスラム教の独立国東トルキスタン共和国1949年に中共に占領され1955新疆ウイグル自治区とされました。この辺の事情は兵頭二十八よりもケント・ギルバートの著作の方が詳しいです。
 その尖閣諸島周辺には毎日のように支那の「調査船、漁船、時に軍艦」が出没しています。いつ上陸占領されてもおかしくない。尖閣諸島は歴史的にも紛れもない日本の領土で、1896年に沖縄の郡制施行により八重山郡に編入され国有地に指定され、その後日本政府から実業家の古賀辰四郎に対して貸与、1932年には古賀辰四郎の嗣子である古賀善次に払い下げられ私有地となったものです(また最近は国有化されました)。古賀親子はアホウドリの羽毛の採取、グアノ(海鳥糞)の採掘、鰹漁業、鰹節の製造等の事業を経営し1909年には248人(99戸)の日本人が居住していたそうです。
 その尖閣諸島の防衛に関して兵頭二十八曰く、「なんでトリップワイヤーの防衛隊を守らせないの?」だそうです。トリップワイヤー=鳴子ですね。もし支那軍が尖閣に偽装漁船などで攻め込んで島々を占拠してから日本の自衛隊が取り戻しに行けば、支那軍は「日本軍が侵略してきた!!!」と言うでしょう。逆に自衛隊が旧式の戦車数台でも島に埋め込んで防御拠点にしておけば、支那軍が攻め込んできたときに防御戦となり数人か数十人で守っていて負けそうになっても「今、支那軍が攻め込んできて苦戦防御中なり!!!と全世界に宣伝発信できる」とのことです。なるほど!ですよね。兵頭氏曰くそれが出来ないのは日本の外務省あたりが中共政府と密約でも結んでいるのではないか(写真2)、また中西輝政氏だったかはアメリカのオバマ大統領が止めさせているから(アメリカ帝国衰亡論・序説)という、のですが何れにしてもなんで自国の島の防御一つママならないのですかね。
 そしてそして更にはマッカーサーに押し付けられた、日本を骨抜きにするための「平和憲法」とアメリカ軍による占領状態を70年以上もキープするための日米安保条約の問題です。今年の衆議院選挙は与党大勝利で衆参両院とも憲法改正を発議できる3分の2以上の議席を与党の自民党+公明党(+日本維新の会+希望の党+日本のこころ、など憲法改正に賛成すると思われる保守系の政党)で確保できました。安倍首相は「憲法改正を2020年から施行したい」というものタイムテーブルを発表しましたが、国会議員村井英樹氏によればまだ自民党内もまだ改正案について固まっておらずバラバラの状態で「どうなるか分からない」らしいです。
 本来なら日本が1951年に締結したサンフランシスコ講和条約成立の直後に早々に憲法改正に取り組んでおけばなんてこと無かった筈ですが、時の首相吉田茂の「思惑」かな何かで放置されて70年、今回、やっとやっと憲法改正が出来そうなチャンスが巡ってきました。
 この日本国憲法に関して兵頭氏は、戦争後に戦勝国が戦敗国の憲法を改正するのは「国際法違反である」、直ちに大日本帝国憲法に戻すべきだった、と述べています。また憲法第9条に関しては、「そもそも自衛権は憲法以前の自然権であって、自衛権を禁止する憲法自体が違憲である」と述べています。従って当然、現在の日本国憲法は「改正」ではなくいったん廃案にしなければならない、のだそうです。
 まあ廃案までは出来ないんじゃないかとも思うのですが、何とか安倍さんに頑張ってもらって今の自衛隊を違憲状態ではない「日本国軍」に格上げしてもらいたいものです。
 最後に、兵頭二十八氏の弱点である「戦略的な側面」を藤井厳喜先生の本(写真3:米中激戦!いまの「自衛隊」で日本を守れるか?藤井厳喜、飯柴智亮)から補強しておきたいと思います。
 日本の核兵器保有に関しては単純な国内の問題だけではなくアメリカからの拒否圧力が強いと思います。昔、佐藤栄作首相が非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)なんてのを唱えてノーベル平和賞を貰ったりしましたが、はじめから「持たない」と宣言してしまったら何の抑止力にもなりません。日本は支那、北朝鮮、ロシアの敵性三ヶ国の核保有国に囲まれて「持つべき国」であって、かつ核兵器を製造できる技術を持っていて安全に扱える国すなわち「持つ資格のある国」であります。かつて藤井先生がチェイニー副大統領の関係者の来日に際して通訳として雇われたときに、日本人関係者からの「日本が核武装するとしたらアメリカは反対するのか?」という質問に対して、「日本がちゃんとデモクラティックな手続きを経て核武装する、と決めたのならならず者国家ではないのだからアメリカが反対する理由はない」と答えたそうです。ちょっと出来杉君的な答えですが表向きはそんな答えになるのでしょう。
 同書の共著者で元日本人で元アメリカ陸軍大尉の飯柴智亮氏は1.情報機関の構築とセキュリティクリアランス(国家の機密情報にアクセスするための資格:非機密機密トップ機密)のシステム構築、2.憲法改正、3.非核三原則を廃止してアメリアからの核の持ち込みとヌクレアーシェアリング(レンタル核)の実施、4.自前の核兵器保有とともに核拡散防止の為に東南アジア各国(ベトナム、台湾、インドネシア、ブルネイ、フィリッピン、マレーシア、タイなど)への日本製の核の傘の提供、などの段階を述べています。
 そして最後の最後に飯柴氏が「あとがき」で述べた日本の現状は背筋が凍りつきます。『今日の日本を取り巻く環境は、各国の思惑が複雑に絡み合っており、今にも火が吹き出しそうな火山の状況といって良いでしょう(20174月現在)。台湾、尖閣諸島から最終的に日本全土までを併合し、覇権を広めようとする中国、金王朝の存続と朝鮮半島の統一を図ろうとする北朝鮮、隙あらば漁夫の利を狙って虎視眈々ととしているロシア、(朴槿恵)大統領が起訴され国としての支柱がガタガタとなっている韓国、敵なのか味方なのかよくわからない不良大統領が治めるフィリピン、そして巨大な財政赤字を解消しつつ同時にパックスアメリカーナの世界秩序を維持しようとしている米国ーーー、もはや何が起こっても不思議ではない状態です。そんな中で日本は、未だに憲法九条の呪縛から抜けきれず、もがいている状態が続いています。南シナ海を事実上中国に獲られてしまった現在、台湾こそが最後の砦であり、「ここを中国に獲られると、米中戦争はもはや米側の負けであり、日本が中国領土になるのは時間の問題」という認識も、自分(飯柴氏)と藤井先生とで一致しました。その台湾も、いまや風前の灯です。』
 ん〜「台湾」がキーポイントなんですね。まあ考えてみれば支那は尖閣自体をリスクを犯して取りにくる、というより「台湾を取りついでに尖閣も占領してしまえ」なんですね。自衛隊を尖閣に送って対応している間にロシアは北海道に攻め入って来るんでしょうね。




写真1.東京都神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる
東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる-squashed

写真2.こんなに弱い中国人民解放軍
不明

写真2.米中激戦!いまの「自衛隊」で日本を守れるか?
不明

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