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胸部(解離性)大動脈瘤
 大動脈の壁は3層構造になっていますが、高血圧や動脈硬化症が原因で壁が弱くなると紡錘状または嚢状に腫れてきます(真性大動脈瘤)。時には3層構造の間に亀裂が入って隙間に血液が入り込みます(解離性大動脈瘤)。瘤径が小さいうちは無症状であることが多く胸部X線写真で偶然発見されることも多いでしょう。瘤径が大きくなればなるほどさらに拡張する危険性が大きくなり、急に拡大したり、破裂寸前(切迫破裂)になったり、解離(亀裂)が走ったりすると胸背部の圧迫感、疼痛、激痛が起こります。瘤の拡大を防ぐために血圧の管理は不可欠ですが、瘤径が5.5cm以上あるいは年に5mm以上の割で拡大する場合は手術が必要です。解離性大動脈瘤の場合は、解離の状態で直ちに手術が必要なものと内科的に血圧コントロールのみでゆく場合があります。手術適応の段階に達した胸部大動脈瘤を放置した場合の5年生存率は20-40%といわれています(Kirklin)。しかしながら手術死亡率も未だに高く10-20%と考えられます。

2016.4.17. 文責 眞弓久則



胸部(解離性)大動脈瘤1-squashed
上行胸部大動脈瘤人工血管置換術

胸部(解離性)大動脈瘤2-squashed
大動脈置換に用いる人工血管の色々

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