Johns Hopkins Hospital Cancer Center外来骨髄移植2017.05.05.
Johns Hopkins Hospital Cancer Center外来骨髄移植2017.05.05.
2017.05.05.朝のJohns Hopkins Hospital Cancer Center外来でのFuchs教授と私です。向かって右側のおじさん(顔半分に削りました)は悪性リンパ腫のある患者さんで7日前にPost-transplantation Cyclophosphamide (PT-CY:骨髄移植後サイクロフォスファマイド法)の骨髄移植を受けたそうです。まずびっくりするのは、これらの処置が全部外来で行なわれているということです。骨髄移植の前処置→骨髄移植day0→Cyclophosphamide50mg/kgをdays3&4→外来管理、そして今、です。おじさんは元気です。握手もしました。
おじさんはBaltimore市内のJohns Hopkins Hospital から一時間以内にあるお兄さんの家で過ごしています(現在の時点でFuchsのところの80%以上の骨髄移植が外来で行なわれているそうです)。PT-CYはFuchsが、私のマウスで実験を行って報告した論文(1983-1989ごろ)を読んで、1990年代後半にJohns Hopkins Hospital にて臨床応用した骨髄移植法です。
PT-CY開始前から外来での骨髄移植というのをやってはいたらしいですが、重症のGVHD(Graft-Versus-Host-Disease:移植片対宿主病)の頻発で大抵は始めから入院させて骨髄移植をしていたそうです。PT-CY法では移植する骨髄細胞から感染症やガンに抵抗するT細胞を除かないまま使用します。ために感染症に強い。
さて件のおじさんは悪い事にHIVウイルスに感染しています。HIVの感染にはCD4 receptor とchemokine receptor 5 (CCR5)が必要らしい。そこで骨髄移植バンクのネットワークを使ってどこかヨーロッパのドナーからCCR5ネガティヴでMHCのミスマッチが3つ以内の骨髄を取り寄せて骨髄移植をした、っていう次第です。どうなるか?HIVが治ってしまう、らしいです。
PT-CYが始まってからHLAハプロタイプが完全に一致しなくても1-3つの不一致までは簡単に骨髄移植ができるようになり、GVHD(移植片対宿主病)は約30%に減少、そのうち皮膚のラッシュだけの比較的軽症GVHDがほとんどで、重症GVHDの下痢や肝機能障害は3%以内、そのうちの半分が亡くなりますので死亡率は1.5%くらいだそうです。
ちょっと難しいですよね、私もやっと聞き取って理解しました。
PT-CYの詳細は院長のボヤキをご覧下さい。
2017.05.05.撮影