房室ブロック
心臓には刺激伝導系と呼ばれる神経のような組織があります。右心房と上大静脈の境目にある洞結節に始まり心房内へ分散した後、再度、房室結節と呼ばれる中継基地を経て左右の心室へ分散します。この房室結節での信号の流れが、加齢による伝導系の変性や心筋梗塞に伴う壊死などにより悪くなると房室ブロックになります。それまで、心房収縮→心室収縮→心房収縮→心室収縮というように規則正しく収縮していた心臓が心房は心房だけ、心室は心室だけでバラバラに収縮し、 全身への血液を拍出するのに大切な心室の収縮が40回/分以下というようにゆっくりしたものになります。場合によっては3秒以上、心室が全く動かない時期があったりして、めまい、眼前暗黒感、時に痙攣を伴う失神発作や突然死を起こすことがあります。心筋梗塞にともなう完全房室ブロックのほとんどは、一時型ペースメーカーを用いてペーシング(電気刺激)してやると一週間以内に正常脈に戻りますが、一週間以上戻らないものや、変性による完全房室ブロックでは永久型ペースメーカーの植え込みが必要です。
2016.4.29.更新 眞弓久則
▲刺激伝導系
▲完全房室ブロックに対するDDD型ペースメーカー
▲DDD型ペースメーカーの実物写真