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左心不全
 心不全の原因が右心系(右心房,右心室,肺動脈)にあるものを右心不全左心系(左心房,左心室,大動脈)にあるものを左心不全といいます。いずれも収縮不全を起こした心室の後方にうっ血と水分の貯留を引き起こして心不全症状を呈します。三尖弁閉鎖不全、右心室の収縮力低下、肺動脈弁狭窄などがあると右心室の後方、すなわち静脈系や肝臓にうっ血が起こり、肝腫大、静脈怒張、浮腫などの右心不全症状が出現します。一方、心筋梗塞や大動脈弁疾患などにより左 心室機能が低下すると、その後方すなわち左心房から肺静脈にうっ血と水分貯留が起こって呼吸困難、起坐呼吸(仰向けでは息苦しくて眠れないが座ると楽だ)、喀血、などの肺うっ血症状(=左心不全症状)が出現します。ただし、左心不全が遷延すると肺うっ血肺高血圧右心不全を併発し両心不全になることもあります。
 急性左心不全は症状が激烈であり、適切な処置を速やかに行わないと患者さんが死亡する危険性があります。呼吸困難、起坐呼吸、喀血、この3つの徴候が見られたら、直ちに救急車で来院しましょう。

2016.4.17.更新 眞弓久則


左心不全1-squashed
左心不全(起座呼吸)

左心不全2-squashed
左心系(赤)右心系(青)

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