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甲状腺機能低下症
 甲状腺機能低下症は新生児期から「クレチン病」として知られ下記の図(最上図)のような症状があります。大人になってからの症状も同様ですが、大人の場合は甲状腺の腫大、冷え性、足の浮腫、動作の不活発さ、全身倦怠感などでしょうか。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進しエネルギー産生を活発化させます(中図)。このホルモンが不足すると成人ではいわゆる生活習慣病の高脂血症糖尿病などが悪化する可能性があります。
 甲状腺機能の検査としては通常はスクリーニングとしてTSH(甲状腺刺激ホルモン)とFT4(フリーT4という甲状腺ホルモンそのもの)の量を測定します。甲状腺ホルモンFT4は正常範囲内に保たれているけど甲状腺刺激ホルモンTSHが高くなっている=こういう状態を「潜在性甲状腺機能低下症」、と呼びます。まあ例えて言うならあまり勉強しないバカ息子(FT4)がお母ちゃん(TSH)にガミガミ言われてなんとか試験だけは合格している状態、とでも説明できるでしょうか?
 このような潜在的な甲状腺機能低下症の状態でも高脂血症や糖尿病のある方の場合はキチンと甲状腺ホルモン製剤(=チラージンやレボチロキシン)を飲んでおいた方が良いでしょう。そしてその甲状腺機能低下の原因が「橋本病」などの自己免疫疾患であるのかどうかを「自己抗体(=自分のリンパ球により作られた自分の甲状腺を破壊するための抗体)」をチェックして調べます(最下図)。
 よっぽどその他のややこしい自己免疫疾患が合併していない限り、この辺までは当院でも診断治療が可能です。通常、甲状腺機能低下症を発現する橋本病と甲状腺機能亢進症を発現するバセドウ病は紙一重のようです。

2016.4.19.更新 眞弓久則

甲状腺機能低下症1-squashed
新生児の甲状腺機能低下症=クレチン病の症状(大人の症状もほぼ同様)

甲状腺機能低下症2-squashed 甲状腺機能低下症3-squashed

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