ロタウイルスワクチン
生ワクチン
経口ワクチン(口から飲むタイプ)
任意接種
現在、ロタウイルス感染症を予防するワクチンとして、ロタリックス(GSK社)、ロタテック(MSD社)の2種類を使用しています。
ロタウイルス感染症(嘔吐・下痢を起こすロタウイルス胃腸炎と脳炎などの重い合併症)
生後6週から接種できますが、ほかのワクチンとの同時接種を考えて、生後2か月からが最適です。4週間隔で2回接種します。2回接種ワクチン(ロタリックス)は、遅くとも生後24週までに接種を完了します。生後25週以降は接種することができません。これがほかのワクチンと異なる点で、服作用としての腸重積症(腸閉塞の一種)が起こりにくい低い年齢で接種するのが目的です。
(腸重積症:子どもに多い病気で、腸が腸の中に折り重なるように入り込み、腸閉塞を起こします。多くは、原因は不明です。いちごゼリー状の血便、5~10分おきに不機嫌で顔色が悪くなるなどの症状が見られ、救急外来受診が必要です。)
ロタリックス(1価ワクチン):生後2か月から接種をはじめ、4週以上の間隔で2回目を接種します。2回目は生後3か月がおすすめです。接種開始時期が遅れた場合は、初回は生後20週最終日までに接種して、おそくとも生後24週最終日までに2回目の接種をします。生後21週以後は接種を開始できません。※2011年7月に承認。
ロタテック(5価ワクチン):MSDから2013年に発売になりました。生後6週から接種をはじめ、4週以上の間隔で、生後32週目までに合計3回接種します。この時期を過ぎると接種できません。
ロタウイルス感染症を予防するワクチンには、ロタリックスとロタテックがあります。ワクチンにより成分と接種スケジュールが異なりますので、初回に接種したワクチンと同じ種類のワクチンを必要回数受けることが必要です。
ロタウイルスワクチンは飲むタイプの生ワクチンのため、接種後に4週間以上間隔をあけなければ次のワクチンを接種できません。0歳児はほかにも接種が必要なワクチンが多数ありますので、同時接種で受けることが重要です。生後2か月になったらヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎ワクチンなどと同時接種で受けることをおすすめします。
2つのワクチンともに、ロタウイルスによる嘔吐下痢症を防いだり、軽くしたりして、点滴や入院が必要になるほどの重症例を約90%減らします。結果として、脳炎などの重い合併症も防ぎます。
ロタウイルスには多くの種類(型)があります。ウイルスの種類が異なると、できる免疫が異なり、免疫ができても弱いこともあります。5歳頃までに少なくとも1回はかかりますが、その後も何回かかかることがあります。
ロタリックス(1価ワクチン)は、一番流行して重症化しやすい1種類のロタウイルスを弱毒化したワクチンです。交差免疫*によってほかの種類のロタウイルスにも有効であることがわかっています。ロタテック(5価ワクチン)は、一番流行して重症化しやすいウイルスを含む5種類のロタウイルスを弱毒化したワクチンです。このように成分が異なりますが、今のところ両方のワクチンともにほぼ同じ良い効果を示しています。*交差免疫:ワクチンに含まれているウイルスに対する免疫を獲得することで、タイプの似ているほかのウイルスにも防御反応を示すこと。
安全性は世界中で多くの調査が行われており、極めて高いものです。そのためにWHO(世界保健機関)は2009年6月に、ロタウイルスワクチンを子どもの最重要ワクチンの一つに指定しました。そして世界中の全ての子どもが使用するようにと指示しました。
文責:眞弓 久則:2016.4.14.版